前回の記事で『WRO』(国際的なロボット大会)の予選会に参加したチームの様子をレポートしました。予選会を勝ち抜いたチームは、後日開かれるWROJapan決勝大会に出場することができます。
8月25日に開催された決勝大会 in 西宮にも各地方からの選抜チームが集まり、東京メトロの運営するプログラボ綾瀬からも「みかんロボット」チームが東京代表として出場しました。今回は「みかんロボット」チームに起きた熱いドラマをレポートいたします。
■ 前日は関西教室の生徒と合同練習 目指すは「1番」
2019年のWROJapan決勝大会は、兵庫県にある関西学院大学 西宮上ヶ原キャンパスで開催された。
プログラボ綾瀬からはミドル競技 中学生部門に「みかんロボット」チームが東京代表として出場。
東京メトロのプログラボチームとしては、初めての決勝大会への出場だ。
大会前日、「みかんロボット」チームの2人は、大阪のプログラボ香里園との合同練習をおこなっていた。
関東から関西への遠征で緊張しているかと思いきや、積極的に香里園校の生徒室長に質問する2人。普段なかなか会えない仲間との交流に花が咲いていた。
大会前の意気込みを本人たちに聞いてみた。
「周りから全国大会への出場すごいねと声をかけてもらうこともあるけれど、“全国大会に出ること”が目的はなく、そこで成果を残すことが大事だと思っているから、1番を目指したい」
決勝に向け「みかんロボット」チームの闘志は十分だ。
■1回目の競技でまさかの展開に
翌日、ついに決勝大会が開幕した。
実はWROでは当日に発表され、その対応力を問われる「サプライズルール」というものがある。
サプライズルールは、事前に明らかになっているルールと違い、その日になるまで分からないため、ロボットの構造やプログラムを十分に理解していなければ対応することは難しい。
このサプライズルールがなんと2人が予想し、練習していたもののひとつとほぼ同じだった。 そのため、動じることなく落ち着いてルールを聞けているようだ。
決勝大会ではバラバラになっているロボットを1から組み立てるところからスタートするが、2人は手慣れた様子で組み立てていき、早々に調整を開始。
提出リミットまでに10分近くの余裕を残して、どのチームよりも早くロボットを提出した。
そしてスタートした1回目の競技。
実はこの「みかんロボット」チーム、これまでの予選会や選考会ではほぼ満点をたたき出してきており、このままクリアなるかと思われていた。
しかし、本番の走行でロボットがコースから離脱。まさかのリタイアとなってしまう。どうやらセンサーがうまく色を読み込めていなかったようだ。
練習ではうまくいっていても、このようなことが起きてしまう。
これがロボットプログラミングの難しさであり、魅力でもある。
■2回目の競技結果は…?
まさかの1回目失敗で、周りの観客から「あのチーム、練習ではずっとうまくいってたのに……」という声も聞こえ始める。
さすがに焦っていた2人だが、2回目競技前の調整が始まるとたちまち落ち着きを取り戻していた。
2回目の調整時間は1回目よりも短く、提出リミットまで20分しかないが、5分を残して提出。
2回目の競技本番を真剣なまなざしで待つ2人。
動き始めるロボット。
結果は、サプライズルールまで成功させた完全クリア。
ゴールが決まった瞬間には思わずガッツポーズをしていた。
そして表彰式での結果発表。
同点(完全クリア)のチームが複数ある場合はタイム勝負となる。
オープンカテゴリー、ミドル競技エレメンタリー部門と順に発表されていき、ついに2人が出場したミドル競技ジュニア部門の発表にうつる。
結果は…見事優勝!
前日の意気込みで語っていた「1番」をつかみ取ることができた。
プログラボでは“夢を実現するチカラ”を大事にしているが、「みかんロボット」チームはまさに1番になるという夢を実現させた。
「1番」になるという夢を実現させるのは難しい。
日々の練習や努力の積み重ねがあってはじめて手に入るものだからだ。
そういう意味では、優勝したという事実よりも、努力によって夢を実現させるという経験をしたことのほうがきっと2人の未来にとって財産となるだろう。
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